超人計画 滝本竜彦

小説

本書は、著者・滝本竜彦氏の心の内側を舞台にした私小説だ。自己と向き合わず、ひたすら自己肯定と弁解を繰り返す姿は、弱さと暗さを感じさせる。その生き方を否定はしないが、肯定することも難しい。脳天気な私にとっては理解しがたい作品と言えるだろう。

夢見人・滝本竜彦は、脳内彼女レイを味方につけ、超人への道を突き進む。現実と虚構の狭間で揺れ動く氏の人生は、虚構に大きく比重が傾いている点が印象深い。

己を変えようと、テレビ出演を果たし、肉体的欠陥を精神的に克服。様々な紆余曲折を経て、ついには妻を娶ることもできた。社会復帰も、おそらく可能なのだろう。

再読したいとは思わないが、それなりに面白かった。人は、自分の見たい夢だけを見ながら生きられれば幸せなのかもしれない。ルサンチマンに支配されない生き方をしようと、改めて考えさせられる一冊

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