ＦＩＮＥＤＡＹＳ　本多孝好

中短編4編からなる、切なくも温かな恋愛小説集。不器用な若者たちの恋が、どこかミステリアスな余韻を残しながら描かれる。現実だったのか、まぼろしだったのかさえ曖昧になっていくような、遠い日の想い出。それでも、実らなかった恋の記憶は今も胸に残る。

「FINE DAYS」では、背伸びしていた高校時代の、ちょっと不良の友人と不思議な少女との関係を回想。「イエスタデイズ」は、病の父の依頼を受け、35年前の恋人を探す末っ子の物語。「眠りのための暖かな場所」では、幼くして亡くなった妹への後悔と想いが胸を打つ。「シェード」では、アンティークショップの年上の女性との短くも印象的な出会いが綴られる。

どの物語も、淡い光に照らされたような、優しい読後感を残す。