8日間の出来事を描いた現代ミステリ。テンポ良く読ませる一冊だが、もう一段階の勢いや意外性があれば完璧だったかもしれない。表現手法もやや異色で、ゴダードらしくないと感じるか、新境地と見るかは読者次第。
物語の主人公は、2002年12月、くすぶり気味の舞台俳優トビー・フラッド。公演先は、かつて自分を捨てた元妻ジェニーが住む町。気が進まぬ中、ジェニーからストーカー被害の相談を受ける。簡単な説得のはずが、ジェニーの婚約者とその資産家一族にまつわる闇に足を踏み入れてしまう。
録音テープの書き起こしという語り口にはやや賛否が分かれそうだが、時系列が複雑に交錯する中でも読みやすさを失わないのは流石。宗教や文化の違いが壁になる部分もあるが、柔軟に受け入れれば、より深く楽しめる一冊。
最期の喝采 R・ゴダード
