危ういバランスの上に成り立つこころ。大人でも子供でも、ほんの些細なきっかけで崩れてしまう。傷ついた二つの心が出会い、同情なのか友情なのか、わからないままに少しずつ氷が溶けていく。さらりと読める文体ながら、じんわりと心に残る一作。「タスケテ」——思わず漏れたひと言。ずっと隠していた、見ないふりをしてきた痛み。かつて“ミドリノオバサン”と誤解し、心を閉ざした私。小学校時代の些細なきっかけで始まったいじめ。中学で変わると誓い、クールに生き、友達を作らないと決めた。挫折を乗り越えることで強くなれるというが、そもそも挫折など無いに越したことはない。必要に迫られて身につける「強さ」とは一体何なのか。自信のなさを群れで隠す子供たちが作り出す、歪んだ構図。その標的になる弱さの苦しさ。だが、抜け出すきっかけもまた、実はとても小さなことなのかもしれない
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