アンノウン UNKNOWN 古処誠二

小説

メフィスト賞受賞作でありながら、デビュー作とは思えない完成度の高さ。自衛隊という閉鎖社会を舞台に、盗聴事件の真相を追うサスペンスミステリ。登場人物たちのやりとりも軽快で、謎解きは王道的ながらも読み応えがあり、爽やかな読後感を残す。
受話器からのノイズに違和感を覚えた大山三佐は、教官の「指揮官はすべてを追求せよ」という言葉を思い出す。電話機を調べると不審な部品が見つかり、調査班の朝香二尉と野上三曹が内部調査に乗り出す。
主人公・朝香の飄々とした人柄と、相棒・野上の俗っぽさの対比が絶妙で、軍隊という硬質な舞台に人間味を添えている。自衛隊の内部事情を背景にしつつも、堅苦しさを感じさせない構成力は著者の力量


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