『陽気なギャングが地球を回す』『陽気なギャングの日常と襲撃』『陽気なギャングは三つ数えろ』
3部作? 第一弾目
ありそうでなさそうな、脳天気ギャングによる痛快アクション小説。ひねりは少ないが、とにかくテンポが良く、あっという間に読了してしまう。主役はもちろん、脇役たちもクセ者ぞろいで、キャラクターの立て方がとにかく巧い。張り巡らされた伏線も見事で、読後には「さすが」と唸るしかない。お気楽、極楽、軽妙で面白い一冊だ。
物語の中心は、特殊技能を持つ4人組の強盗団。綿密な下調べとシミュレーションを重ね、4000万円を強奪する完全犯罪を成功させる。逃走ルートも完璧――のはずが、まさかの交通事故に見せかけた襲撃で、別の強盗団に横取りされてしまう。当然、黙っていられるわけがなく、彼らは反撃へと転じる。
各章の冒頭に挿入される“辞書風の一文”もユニークで、章が進むにつれ著者の遊び心が炸裂。どこか「コージ苑」を彷彿とさせる洒落た小ネタも楽しい。映画化もされているが、原作の味わいは本でこそ堪能できる。読むなら今だ。
Amazon.co.jp : 陽気なギャングが地球を回す 伊坂幸太郎