メリーゴーランド 荻原浩

小説

面白い一冊だった。同じようなテーマを扱った「県庁の星」よりも、こちら「メリーゴーランド」の方が現実味があり、物語に引き込まれる。

立て直しの舞台は、赤字続きで閑古鳥が鳴く第三セクターのテーマパーク「アテネ村」。結末は大団円とはいかないが、読後感はすっきりしている。


主人公・遠野啓一は、故郷・駒谷に戻って9年、市役所勤務の身ながら新年度の異動でアテネ村リニューアル推進室へ出向となる。慣例と前例を重んじる役所体質、天下り幹部たちとの衝突、さらには家庭の不和とも向き合いながら、集客アップの企画に奔走する姿がリアルだ。
利益追求が第一ではない第三セクターの難しさ、政治の介入、無責任な計画の後始末など、現代の行政課題が巧みに描かれている。舞台は小さな地方都市だが、そこに庶民の心意気と風刺が詰まっていた。最後は「やがて悲しき宮仕えかな」と、しみじみとした余韻を残す作品

メリーゴーランド(新潮文庫)
過労死続出の職場を辞め、Uターンしたのが9年前。啓一は田園都市の市役所勤務。愛する妻に子供たち、あぁ毎日は平穏無事。……って、再建ですか、この俺が? あの超赤字テーマパークをどうやって?! でも、もう一人の自分が囁いたのだ。〈やろうぜ。いっ...
タイトルとURLをコピーしました