“サイコ”というよりは、王道のサスペンス。軽妙な筆致でテンポよく読ませるが、ラストの展開には好みが分かれるところ。一気読みした末の、あの最後の2ページを絶賛する声もあるが、蛇足かな?
物語は「デンジャラスなレインマン」による連続猟奇事件から始まる。彼はカップルの女性だけを誘拐し、両足首を切り落とす。唯一の救いは、“ミリエルのローズ”という香水をつけていれば襲われないという噂。女子高生を中心に口コミが爆発し、香水は空前のヒットへ。実はそれは、企画会社コムサイトの社長・杖村が仕掛けたWOM(クチコミマーケティング)だった。しかし、噂が現実に追いついてしまう――足首のない少女の死体が発見されるのだ。
ドラえもんの黒い最終回、ミミズバーガー、死体洗いのバイト。そんな都市伝説のように、残酷な噂は人の口から口へ、静かに確実に広がっていく。物語そのものはありふれているが、「噂」という視点が巧みに効いている。
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