主人公は二人。よくある「タイムスリップ」と戦争を題材に、筆者の力で読み応えある作品に仕上がっている。風化していく戦争の記憶は、猛暑の季節にふと語られ、本や映像を通じて伝わる。戦争経験者が年々減る今、平和を享受する私たちに何を教え残したのか考えさせられる。
一人は2001年の尾島健太、バイトを首になった根拠なきポジティブな十九歳。もう一人は昭和十九年、霞ヶ浦海軍飛行隊の訓練生・石庭吾一、妹思いの「海の若鷹」志望の十九歳。ある日、二人は入れ替わってしまう。
人間の営みに差はないと言われるが、本当にそうか。時代によって選択肢が変わる以上、生き方も変わるのは必然だ。果たしてどちらの主人公が幸せだったのか、答えは読者に委ねられている。
Amazon.co.jp: 僕たちの戦争 (双葉文庫) eBook : 荻原 浩: 本
Amazon.co.jp: 僕たちの戦争 (双葉文庫) eBook : 荻原 浩: 本