いつか王子駅で 堀江敏幸 文庫

小説

さらりと読めるのに、どこか心に残る。これが純文学の昇華形なのだろうか。何気ない日常を、何気ないままに描く筆致に、ただただ感嘆する。読後には、淡く儚い余韻が残る。

物語の舞台は、東京・都電荒川線沿いの町。主人公は、講師や翻訳、家庭教師の仕事をしながら、気ままな一人暮らしを送っている。小さな居酒屋「かおり」で出会った、どこか魅力的な正吉さん。ある日、彼が置き忘れたカステラの箱を届けることになる。

物語は終始、淡々と静かに流れていく。登場人物たちは力まず、かといって怠けるわけでもなく、それぞれのリズムで生きている。人生に疲れを感じながらも、それを否定せず、どこか楽しんでいる様子が印象的だ。

語彙にやや難があるため、辞書が必要になる場面も。加えて競馬の描写が多く、興味がなければ読み飛ばしても問題はない。ただ、私はそこも含めて十分に楽しませてもらった。

いつか王子駅で (新潮文庫) | 敏幸, 堀江 |本 | 通販 | Amazon
Amazonで敏幸, 堀江のいつか王子駅で (新潮文庫)。アマゾンならポイント還元本が多数。敏幸, 堀江作品ほか、お急ぎ便対象商品は当日お届けも可能。またいつか王子駅で (新潮文庫)もアマゾン配送商品なら通常配送無料。
タイトルとURLをコピーしました