タンノイのエジンバラ 長嶋有

タンノイのエジンバラ (文春文庫 (な47-2))
人が一日に八時間働くというのが信じられない。八という数字はどこからきたのだろうか。なんだか、三時間でいいんじゃないかもう……(「夜のあぐら」より)。なぜか隣室の小学生の娘を預かることになった失業中の俺のちぐはぐな一夜を描く表題作。真夜中に実...

脱力感たっぷり、力を抜いて読める一冊。芥川賞作家による短編4編を収録。現代社会にありがちな空気感と、どこにでもいそうな登場人物たちが描かれ、深刻さは控えめ。その軽さを心地よく感じる人もいれば、物足りなさを感じる人もいそう。

「タンノイのエジンバラ」では、隣家の母子との突然の関わりに戸惑う男。「夜のあぐら」は、壊れかけた姉弟の奇妙な再会と実家への“侵入”。「バルセロナの印象」は、目的もなく訪れた三人のバルセロナ旅行。「三十歳」では、人生に流され続ける秋子の日常が淡々と綴られる。

どの話も大事件は起きない。でも、だからこそ沁みる、静かな余韻。

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