リーバス警部シリーズ第2作は、題名通り「二面性」を強調した構成が印象的な英国ミステリ。エジンバラ郊外でヤク中の若者が死亡し、現場には五芒星やロウソクが残されていた。魔術か、単なる偶然か。リーバス警部は事件に興味を抱き、半ば強引にホームズ刑事を相棒に捜査を開始する。会話が多くテンポも軽いため、重いテーマながら読みやすい。人間関係もうまくいかず、不器用でどこか哀愁を漂わせるリーバスの姿に魅力を感じる。難点を挙げるなら、各章冒頭の『ジーキル博士とハイド氏』の引用がやや過剰で、作者の狙いが前に出すぎている点。
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