クリスマスにちなんだミステリの傑作7編(短編6+中編1)からなるアンソロジー。
7編全ての完成度が高く秀作、非常に読ませる本になっている。各作家が個性豊かな探偵・警察官を登場させ、最後の落とし所を見事に決めている。この「小さな灰色の脳細胞」を満足させてくれる。
生まれて初めて推理小説で爆笑した、抱腹絶倒。フロストのおっさんが良いです。大爆笑w 『夜明けのフロスト』収録の表題作だけを読むためにこの本を手に取る価値は十分にある。主人公ジャック・フロスト警部は、だらしなく下品で意地汚いが、なぜか憎めない魅力を持つ不思議な人物だ。悪口雑言を連発しながらも、その人間味溢れるキャラクターは他の凡庸な探偵や警察官とは一線を画す。著者ウィングフィールドの寡作ぶりは残念で、彼の作品に触れる機会がこれまでなかったことを惜しむばかりだ。かつてミステリに夢中だったが、最近は遠ざかっていた筆者も、この作品をきっかけに再びミステリの世界に戻ろうかと思うほどである。フロスト警部の個性豊かな人間ドラマが心に残る、味わい深い一冊である。