ハードボイルドなSF作品。文体や語り口が独特で非常に読みづらい。散文的で言葉の意味をつかみにくく、物語に入り込むことができなかった。結果として、表面をなぞるだけの読書体験で読了。
主人公は「徘徊者」の異名を持つディムズデイル=ボイルド。青灰色の目をした巨体を猫のように静かに動かす男で、友軍誤爆の罪を負い、最終支援施設へ自ら身を投じる。彼のパートナーは、あらゆる物体に変化できる“万能道具存在”のネズミ、ウフコック。だが戦争終結により、処分対象となる。
物語は「Prologue100」からのカウントダウン方式で進むが、その構成もいまひとつ馴染めず、/ や -による場面転換の多用が文章をぶつ切れにしている印象を受けた。ジャンル自体は好みなのだが、前作を読む意欲も湧かず、評価は厳しめになる。主人公の虚無に向かう結末が冒頭で明かされているのも、物語として残念だ。
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