いらっしゃいませ 夏石鈴子

小説
Amazon.co.jp: いらっしゃいませ (角川文庫) 電子書籍: 夏石 鈴子: Kindleストア
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素直で一生懸命なヒロインが、不本意ながら始めた仕事に真正面から向き合い、少しずつ成長していく様子を描いた、軽やかなオフィス小説。文体は平易ながらテンポが良く、共感を誘う描写が多いため、スラスラと読み進められる。

主人公・鈴木みのりは、本来の志望とは異なる出版社に就職し、しかも希望していなかった「受付」に配属される。社会人なら誰しも一度は味わうような「思っていたのと違う」現実に戸惑いながらも、彼女は真正面から向き合っていく。

派手な事件は起きないが、日常の中に潜む違和感や疑問に向き合う姿勢が、読み手に静かな余韻を残す。小さな気づきやささやかな変化が、やがて確かな成長へとつながっていく。

「いちいち悩まなくてもいい」「流されて生きれば楽」と言う周囲の声に、素直にうなずけない人にこそ響く物語。軽やかさの中に、まっすぐな芯を持った一冊

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