ハリガネムシ 吉村萬壱 Kindle版

雑記
Amazon.co.jp: ハリガネムシ 電子書籍: 吉村 萬壱: Kindleストア
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堕ちていく感情。腐臭を放ち、澱のように溜まり、やがて静かに蠢く――そんな負の感情と、人は一生をかけて向き合い、見ぬふりをして共存していくのかもしれない。

読後、何かが完結したわけではないのに、なぜか妙に納得している自分に戸惑う。タブーに触れるような、危うい作品。収録は「ハリガネムシ」「岬行」の二篇。

芥川賞受賞作「ハリガネムシ」では、25歳の高校教師が主人公。ある日、痩せた小さな女・サチコからの電話が、抑え込んでいた感情を呼び覚ます。

暴力や性描写が露骨なわけではない。それでも脳裏に焼きついて離れない強烈さがある。読後には嫌悪感が残るはずなのに、なぜか心が蠢動する。もしかすると、嫌悪の対象は自分自身かもしれない。著者が恐ろしい。読んだ自分も恐ろしい。誰かに薦めることさえ、ためらわれる。。。

他の読者は、このカタルシスを押さえ込めるのだろうか?

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