小説 オウエンのために祈りを (上・下)ジョン・アーヴィング 神の啓示か、悪魔の戯言か。ジョン・アーヴィングが描く、奇跡と運命をめぐる静謐な物語。小さくて軽く、裏声で話すオウエン・ミーニーは、人々に愛されながらも「神と語る少年」として異彩を放つ存在。十一歳の夏、彼が放ったファウルボールが、親友ジョニー... 2025.06.11 小説
小説 真夜中の青い彼方 ジョナサン・キング 現代ハードボイルドの正統を貫く、マックス・フーリマンシリーズの第一作。元フィラデルフィア市警の警官だった主人公が、ある事件を機に森で隠遁生活を送っていたが、川で発見した子供の遺体をきっかけに再び現実に向き合うことに。著者ジョナサン・キングの... 2025.06.11 小説
小説 負け犬の遠吠え 〈文庫版特典「オス負け犬たち4人との座談会」を収録〉(講談社文庫)一世を風靡し新語にもなった赤裸々なエッセイ。人気独身女性作家が女性のために綴った言い得て妙で巧みな文章は面白いが、同じテーマを繰り返すため半ば過ぎから疲労感が漂う。連載で読む... 2025.06.11 小説雑記
小説 パイロット・イン・コマンド 内田幹樹 現役パイロットだった著者が描いた処女作 希少な航空サスペンスというジャンルに挑んだ一冊。フィクションながら、リアルな描写に本音がにじむ操縦するのは「紅のタヌキ」砧機長、朝霧機長、そして副操縦士・江波順一。NIA202便は、天候不順、要注意旅... 2025.06.11 小説
小説 サラマンダー殱滅 (上・下)梶尾真治 (著) 大好きな一冊。SFとしては三流、復讐劇としては二流、だが読後感は一流。嗜好においては超特級。ジャンルに縛られない娯楽小説として、圧倒的な存在感を放つ。好みは分かれるだろうが、固有名詞の妙にもぜひ注目してほしい。今や「黄泉がえり」で知られる著... 2025.06.11 小説
小説 明治ちぎれ雲 平山壽三郎 (著) 御一新、慶応から明治へ──江戸は東京となり、時代は激変する。そんな転換期を庶民の目線で明るく描いた、朗らかな時代小説。歴史小説ながら内容も語彙も平易で、苦手な人でもすんなり読める一冊。元武士の今岡龍之介は日本橋で口入れ屋の手伝いを、妻のお駒... 2025.06.11 小説
小説 グロテスク (上・下) 桐野夏生 (著) 圧倒的、筆致。現代社会の人に潜む 誰でも飼っている“怪物” を著した物語。性差により、かなり感想が違うかもしれない。 読後感は、茫然自失。絶対、人には勧めない。 絶対、再読したく無い。 でも暫くしたら、絶対、再読する作品。 昏い洞窟の奥に棲... 2025.06.11 小説
小説 太陽がイッパイいっぱい 三羽省吾 (著) 愉快で痛快、爽快な青春小説。ストーリーは単純ながら勢いがあり、荒削りながらも何かを予感させる魅力にあふれている。気取らず等身大の筆致が心地よく、読後には「とりあえず頑張ってみるか」と思わせる力を持つ。主人公は三流私大の四回生イズミ。彼女のた... 2025.06.11 小説
小説 ジョナサンと宇宙クジラ ロバート・F・ヤング (著)説明不要の名作。古さを感じさせない叙情的な語り口で、まるで御伽話のような優しいSF。ファンタジーに分類しても違和感はなく、SFが苦手な人にもぜひ薦めたい一冊。アメリカを代表する詩人作家ロバート・F・ヤングの珠玉の... 2025.06.11 小説
小説 【合本版】水滸伝(全19冊+1) (集英社文庫) 北方謙三 (著)北方水滸伝、文庫で颯爽と登場。従来の水滸伝とは解釈も手法も異なるが、むしろ後世に残るのはこれかもしれないと思わせるほど面白い。列伝体を排し、過去の矛盾や違和感を巧みに解消。物語は読みやすく力強い。十二世紀中国、北宋末期。腐敗... 2025.06.11 小説
小説 移動都市 フィリップ・リーヴ (著) 傑作シリーズ第1弾 第38回星雲賞受賞作 英国の冒険SF作品。凄い、面白い、スピード感も抜群、久々に唸る様な傑作登場。四部作の第一部だが、心底次作が待ち遠しい。どっぷり感情移入しながら味読が御勧め。読後感は、夢いっぱい。そうさぁ、この世はア... 2025.06.11 小説
小説 自転車少年 記竹内真 (著) 自転車を軸に、恋あり笑いあり涙ありの青春小説。文体は平易でテンポも良く、爽快感に満ちていて一気に読める。読後は人生順風満帆と感じさせる明るさ。物語は18歳の春、昇平・草太・伸男の3人が南房総から東京西部へ、100km超を自転車で走る旅から始... 2025.06.11 小説
小説 逸脱者 G・ルッカ 抜群に面白い、翻訳ハードボイルドの傑作。ボディーガード、アティカス・コディアックを主人公にしたシリーズ第4弾。登場する女性たち――ナタリー、デイル、コリー――はいずれも強烈で魅力的、肝が据わっていて頼もしい。前作「暗殺者」で意気投合した4人... 2025.06.09 小説
小説 最期の喝采 R・ゴダード 8日間の出来事を描いた現代ミステリ。テンポ良く読ませる一冊だが、もう一段階の勢いや意外性があれば完璧だったかもしれない。表現手法もやや異色で、ゴダードらしくないと感じるか、新境地と見るかは読者次第。物語の主人公は、2002年12月、くすぶり... 2025.06.09 小説
小説 レキオス 池上永一 面白い、だが読みやすくはない。笑えるのに、どこかもやもやが残る――そんな一筋縄ではいかないロー・ファンタジー作品。黒魔術、呪術、生体コンピュータに科学と、SF要素がこれでもかと詰め込まれ、好きな人にはたまらないが、苦手な人には混沌としか映ら... 2025.06.09 小説
小説 しょっぱいドライブ 大道珠貴 夢も希望もそこそこで、ただ流されるように生きる女たちの日常を描いた短編集。芥川賞を含む3冊の作品から選ばれた、どこか力の抜けた3編を収録。登場人物は皆、受け身で、特に何かが起きるわけでもない。ユルユルとした読後感が、好き嫌いを分けそう。「し... 2025.06.09 小説
小説 タンノイのエジンバラ 長嶋有 脱力感たっぷり、力を抜いて読める一冊。芥川賞作家による短編4編を収録。現代社会にありがちな空気感と、どこにでもいそうな登場人物たちが描かれ、深刻さは控えめ。その軽さを心地よく感じる人もいれば、物足りなさを感じる人もいそう。「タンノイのエジン... 2025.06.09 小説
小説 鞄屋の娘 前川麻子 父と娘の深い愛情を描いた、自伝色の濃い作品。著者の思い入れはひしひしと伝わってくるものの、文体には難があり、人物の代名詞の入れ替えが煩雑で、三人称から突然独白に切り替わるなど、構成に戸惑いを覚える箇所も少なくない。著者は元映画女優で、現在は... 2025.06.09 小説