『 ちいさこの庭 』 小玉ユキ 全1巻 小学館 2017年 – 2018年
「坂道のアポロン」の著者ですね 優しい物語 コロボックル ジブリ作品の 借りぐらしのアリエッティ と同系列 小人系のちょっと長い絵本です
あらすじに ネタバレあります!
2019年 オンナ編 『 このマンガがすごい! 』
1位 | メタモルフォーゼの縁側 | 鶴谷香央理 | KADOKAWA |
2位 | ミステリと言う勿れ | 田村由美 | 小学館 |
3位 | 凪のお暇 | コナリミサト | 秋田書店 |
4位 | 違国日記 | ヤマシタトモコ | 祥伝社 |
5位 | おじさまと猫 | 桜井海 | スクウェア・エニックス |
6位 | 犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい | 松本ひで吉 | 講談社 |
7位 | ギガタウン 漫符図譜 | こうの史代 | 朝日新聞出版 |
8位 | ちいさこの庭 | 小玉ユキ | 小学館 |
9位 | マキとマミ〜上司が衰退ジャンルのオタ仲間だった話〜 | 町田粥 | KADOKAWA |
10位 | 君は春に目を醒ます | 縞あさと | 白泉社 |

(あらすじ)
第1話「秘密の庭のテン」
中庭のある家に引越してきた少女瑠奈は、小さな存在テンを見つける。家族は信じず、孤独を抱える。庭が壊されると知った瑠奈は、テンと家出し導かれた先で保護される。母の死を機に母もテンを見て「ちいさこ」が、恋を知らぬ者か死に近い者にしか見えない存在と知る。
第2話「山の世話焼きイグナ」
恋愛小説家と担当編集者が山で取材中、ちいさこイグナに出会う。二人は恋をしていないため、その姿を見て心を癒される。特に内向的な編集者は、自己表現と恋心の間で揺れつつも、イグナとの交流で本音に気づき前に進む勇気を得る。
第3話「ルンダの青い石」
引きこもりの中学生トモキは、窓越しに世界を眺めるだけの日々を過ごしていた。ちいさこルンダと出会い、小さな世界の美しさと希望を知る。トモキはルンダに淡い恋を抱き、彼女の消失とともに外の世界に再び歩み寄る決意を固める。
第4話「四百年の庭」
戦乱の世、右手を失った平次郎と共に暮らす少女お林は、昔のテンにあたるイツモテンと出会う。互いに信頼を育むが、恋心が芽生えた瞬間イツモテンは姿を消す。恋を知らぬ者にしか見えぬ存在である秘密が明かされ、二人は運命の分岐を迎える。
第5話「リトルモア」
絵本作家志望の女性は、ちいさこの絵本を描くため旅の王子と出会う。王子は死を目前に控えたため、ちいさこを目にし二人は共に時を過ごす。別れと再会を経て、女性は絵本を完成させ、癒しを届ける作家として歩き出す。
(ゆるっと感想)“ちいさこ”は「恋を知らない者」または「死を迎えようとする者」にだけ見える存在。彼らはそれぞれの出会いを通じて、人々に小さな気づきや勇気、別れと成長を促す切っ掛けを与える。オルタナティブな存在でもあるように思ふ。全5話が時代や年齢、性別をまたぎつつも一つのテーマで有機的につながり、特に最終話を読むことで繋がりの意味が胸に沁みる。読後には、透明感ある余韻と切なさが家族や恋愛、生と死の境界に関する問いかけは優しく死生論を考える機会になるかも。
著者は、老成した作風だけど実は思っているより若めですw
(ちょっとウィットに感想)
静かな筆致で人の生と死、恋と孤独をまるで庭の葉陰の囁きのように描き出す不思議な一冊。表面的には優しい寓話だが、読み込むほどに「恋を知らぬ者」と「死に近い者」しか見えないという設定がじわじわと胸に刺さり、人間の儚さを突きつけてくる。甘さの裏で人生の終焉や孤独を冷ややかに見つめる眼差しがあり、安心して浸っていると背後からそっと首筋を撫でられるような感覚を覚える。優しい顔で死神と隣り合わせに座らせるこの物語は、温もりと冷気を同時に味わわせる危険な庭なのかもしれない。
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