『 クジャクのダンス、誰が見た? 』 浅見理都 講談社 全7巻 2022年 – 2025年
『 クジャクのダンス、誰が見た? 』 2024年『 このマンガがすごい! 』 ランキング 4位 に輝いた話題のミステリー漫画 独特な伏線や心理描写で引き込まれる 絵のクオリティは「イチケイ」よりも上に感じる この記事では あらすじから見どころ 感想までゆるっと紹介 ミステリ初心者さんも気軽に楽しめる叙述トリック多めの作品 ミステリ小説への入口になるかも?!
あらすじにネタバレあります クライム・サスペンス 一般的に云うミステリ作品ですねぇ
・叙述トリック多め
・登場人物に超能力や特殊能力 無し
・論理的推理 視点操作 心理トリック で勝負する作品
同著者の『イチケイのカラス』講談社 全4巻 2018年 – 2019年 ドラマ 映画 にも成りました
【 このマンガがすごい 】 2024年 4位
1位 | うみべのストーブ 大白小蟹短編集 | 大白小蟹 | リイド社 |
2位 | 気になってる人が男じゃなかった | 新井すみこ | KADOKAWA |
3位 | いやはや熱海くん | 田沼朝 | KADOKAWA |
4位 | クジャクのダンス、誰が見た? | 浅見理都 | 講談社 |
5位 | 違国日記 | ヤマシタトモコ | 祥伝社 |
6位 | 霧尾ファンクラブ | 地球のお魚ぽんちゃん | 実業之日本社 |
7位 | 家が好きな人 | 井田千秋 | 実業之日本社 |
8位 | 狼の娘 | 小玉ユキ | 小学館 |
9位 | ホタルの嫁入り | 橘オレコ | 小学館 |
10位 | 零れるよるに | 有賀リエ | 講談社 |
(あらすじ)
物語は主人公:心麦の父の春生が火事で亡くなるところから始まる。 春生はかつて東賀山事件 一家6人が殺害された凶悪事件を担当した刑事であったが、その死には不審な点が多く事件の真相を追う者たちの関心を集める。春生が小麦に遺した手紙により 事件は予想外の局面を迎える。
春生の殺害容疑で逮捕されたのは遠藤友哉であり、彼は東賀山事件の犯人とされた遠藤力郎の息子である。遠藤友哉の冤罪の可能性が春生の手紙によって浮上、心麦は父の遺言に従い 弁護士の松風に友哉の弁護を依頼することを決める。
その後 DNA鑑定の結果 、心麦が春生の実の子ではないことが判明する。 新たな謎が生まれる 一方で赤沢刑事は春生の手紙が脅迫されて偽造されたものではないかと疑いを深める。さらに春生殺害に裏で関与する人物と検事の阿南の繋がりも明らかになる。
春生は生前に遠藤友哉に謝罪の言葉を伝えており、その内容は東賀山事件で死刑判決を受けた遠藤力郎の冤罪に関するものであった。これにより、遠藤友哉の無実の可能性がますます強まる。
ラーメン屋の染田は、春生の手紙を偽造したと警察に証言するが、彼は脅されて嘘をついていた。その後、何者かに襲われ意識不明の重体となる 染田は病院で死亡し、事件の闇はさらに深まる。
春生に松風を紹介したのは 遠藤力郎の元弁護士 三木田辰雄であり、彼の存在は今後の展開に大きな影響を及ぼす。松風の父 久世正勝は赤沢刑事の元部下で 過去に窃盗の罪を着せられて失踪したことも明らかとなる。
物語は単なる事件の真相解明を超え、登場人物たちの複雑な人間関係や警察内部の陰謀にも迫る。心麦は、父の死の真相と遠藤友哉の冤罪を証明するため苦難に立ち向かう決意を強める。
本作は、緻密な伏線と巧みな心理描写で読者を引き込み、叙述トリックを効果的に用いて予想を何度も裏切る展開が続く。スリリングかつドラマティックな物語は、多くの謎が絡み合い、最後まで飽きさせない 、ミステリー初心者はハラハラドキドキ、コアファンも納得の内容。
1~4巻程度までの まとめとなります ここから更なる展開をしていくので興味がある方は是非 ご一読下さいませ

(ゆるっと感想)ミステリーを標榜しながらも、王道の叙述トリックをなぞる安全運転の物語。伏線はあるにはあるが、刃物のように鋭いというより、どこか子供用のおもちゃのナイフのように丸い。だが、それが悪いとは言わない。むしろ最近の若い読者にとっては、これくらいの温度感のほうが安心して読めるのだろう。血飛沫も飛び散らず、推理の難易度も高すぎず、胃もたれしないサスペンスとしてちょうど良い。
だが、ミステリー好きの玄人が本作を手に取ったらどうなるか。おそらく数ページで、「ああ、なるほど、こう繋がるわけね」と予測を立て、半分くらい当ててしまうだろう。それでも最後まで読んでしまうのは、作画の安定感と人物の心理描写がきちんと効いているからだ。特に心麦と松風、そして父・春生の過去が複雑に絡むあたりは、物語としての重みがある。展開自体は派手さよりもじわじわと広がる疑念を積み重ねていくタイプで、その静かな緊張感を楽しめるかどうかで評価は分かれると思う。
この作品が2024年の『このマンガがすごい!』で4位に入ったのは、ミステリーとしての革新性というより、読者層の広さと手堅さによるものだろう。難解さを抑えつつも、伏線回収の爽快感や、人物関係のドロッとした人間模様でページをめくらせる力はある。だが、叙述トリックを期待して読み始めた者には、少し肩透かしを食らうかもしれない。仕掛けは存在するが、どれもミステリー小説で散々見てきた手法で、新鮮味より安心感のほうが勝つ。
結局のところ、この漫画は「ミステリーに入りたいけど、まだ深い沼には足を突っ込みたくない」という読者のための入り口の一冊 入門書 だろう。そう割り切って読めば、余計な毒気を抜いた穏やかなサスペンスとして楽しめる。逆に、ミステリーに飢えた者が手を出せば、物足りなさに苛立つかもしれない。だが、すべての読者を満足させる物語など存在しない。だからこそ、私はこう言っておく。本作は優等生の仮面をかぶった、安心設計の娯楽作だ。刺激を求めるなら別の棚を漁ればいいし、肩の力を抜いて楽しみたいなら、クジャクの羽をめくるのも悪くはないだろうw
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