アニメ

ブレイブ・ストーリー 宮部みゆき

子供から大人まで楽しめるファンタジー 全3巻(上・中・下)主人公の亘(わたる)は、現実と幻界(ヴィジョン)の2つの世界で生きる事を学び、成長していく。上・中・下巻のかなり厚めの3冊だが、それでも読み足りないほど、物語に引き込まれていく。 小...
小説

紀文大尽舞 米村圭伍

時代考証不要の、気軽に楽しめるミステリ風時代劇。推理というより、主人公が首を突っ込んでいるうちに物事が転がり、結果として真相にたどり着くタイプの物語。語り手の証言が多く、それぞれの語り口が興味深く魅力的。主人公は、江戸の湯屋の娘で戯作者志望...
小説

天使はモップを持って 近藤史恵

全八話の軽やかな謎解きミステリ。テンポの良い文体で、すっと読めて読後はすっきり爽快。主人公のキリコは、小麦色の肌に赤茶の髪、耳にはピアスがいくつも揺れる十代の女の子。お洒落で快活、会社の清掃員として働きつつ、新入社員の梶本大介を「おじさん」...
小説

時計を忘れて森へいこう 光原百合

本書は三編からなる、心温まるほのぼのミステリーだ。このジャンルにおいて、かつてないほど優しい読後感に包まれ、心からお勧めできる一冊である。高校生の翠は、なくした時計を探して森をさまよううち、誠実で心優しい青年、護と出会う。森の木々と対話し、...
小説

隠し部屋を査察して エリック・マコーマック

著者エリック・マコーマックのデビュー作「隠し部屋を考察して」を含む全20編の短編集。全体で330ページほどと手頃なボリュームながら、ショートショートや幻想譚、グロテスクでブラックな物語がぎっしりと詰まっている。どこか惹かれる作品もある一方で...
小説

超人計画 滝本竜彦

本書は、著者・滝本竜彦氏の心の内側を舞台にした私小説だ。自己と向き合わず、ひたすら自己肯定と弁解を繰り返す姿は、弱さと暗さを感じさせる。その生き方を否定はしないが、肯定することも難しい。脳天気な私にとっては理解しがたい作品と言えるだろう。夢...
小説

フェルマーの最終定理 サイモン・シン

数学史を駆け抜ける「フェルマーの最終定理」BBC制作のドキュメンタリー「ホライズン」関係者が手掛けた本書は、ピタゴラスからフェルマー、そしてアンドリュー・ワイルズへと続く「フェルマーの最終定理」証明の道のりを描く数学ノンフィクションだ。数学...
小説

ジゴロ 中山可穂

表題作を含む五編からなる連作短編集。主人公はレズビアンのストリートミュージシャン・カイ。冒頭から濃密な濡れ場が展開され、通勤時に読むには少々刺激が強い。まさに「女性の花園」を覗き見るような内容だ。新宿二丁目界隈で知られた存在のカイを軸に、夫...
小説

非・バランス 魚住直子

危ういバランスの上に成り立つこころ。大人でも子供でも、ほんの些細なきっかけで崩れてしまう。傷ついた二つの心が出会い、同情なのか友情なのか、わからないままに少しずつ氷が溶けていく。さらりと読める文体ながら、じんわりと心に残る一作。「タスケテ」...
小説

さよなら、スナフキン 山崎マキコ

小説というより連載コラムのような軽快な文体で、テンポよく読み進められる作品。主人公の心理描写も丁寧に描かれ、非常に分かりやすい。著者自身の体験が投影されていると感じさせる自伝的要素も魅力の一つ。“人から必要にされたい。ただそれだけだ。”とい...
小説

龍時03-04 野沢尚

全3巻 01-02 02-03 03-04フィクションながら実在の人物も多数登場する「龍時」シリーズ。その第三作目となる本作は、著者の遺作となってしまった。スペインでのシーズンを終えた志野リュウジは、一時帰国の直前、アテネ五輪本大会前の合宿...
小説

影と陰 イアン・ランキン

リーバス警部シリーズ第2作は、題名通り「二面性」を強調した構成が印象的な英国ミステリ。エジンバラ郊外でヤク中の若者が死亡し、現場には五芒星やロウソクが残されていた。魔術か、単なる偶然か。リーバス警部は事件に興味を抱き、半ば強引にホームズ刑事...
小説

99999(ナインズ) デイヴィッド・ベニオフ

全8編を収録した短編集。軽やかな文体でありながら、読者を飽きさせない多彩な物語が展開される。シニカルで切なさを孕んだ作風は、映像作家としても活躍する著者ならでは。代表作「25時」の名台詞「俺に残された最後の自由な時間は24時間」に象徴される...
小説

ダーク(上下) 桐野夏生

桐野夏生 *黒い作品*※注意※ 本書単独で読むのはお勧めしない。探偵ミロ・シリーズ第一作『顔に降りかかる雨』を先に読むことで、本作『ダーク』の本質が見えてくる。物語は、感情の奔流がぶつかり合うような重苦しさに満ちている。人間のエゴ、愛憎、嫉...
小説

権現の踊り子

第123回芥川賞作家による初の短編集。川端康成賞を受賞した表題作を含む全6編が収録されており、240ページ弱の薄さで気軽に読める。文体は作品ごとに変化し、関西弁も多用されるため、好みは分かれるかもしれない。純文学でありながら、ふと笑ってしま...
小説

魔岩伝説 荒山徹

傑作であり、痛快な時代伝奇小説。日本と朝鮮を舞台に、歴史の衣をまとった冒険譚が展開される。徳川二百年の泰平の世、五十年前に死亡したはずの対馬藩士・鈴木伝蔵を名乗る男の登場を機に、物語は動き出す。朝鮮通信使という奇妙な制度を軸に、陰謀と謎が複...
小説

ワイルド・ソウル(上下)

移民政策を軸に、戦後日本の棄民政策を背景とした復讐劇。サンパウロ丸で南米アマゾンへ渡った衛藤と家族の数奇な運命を描く。前半は重苦しい展開ながらも、中盤から主人公たちの動きにテンポが出て一気に引き込まれる。構成の巧みさが光り、最後まで読ませる...
洋画

イノセント ハーラン・コーベン

Harlan Coben(著)上下巻構成ながら、会話主体でテンポがよく、意外にも軽快に読める作品。アンソニー賞、シェイマス賞、エドガー賞というミステリ界の三冠を制した作家による、読者支持の高い一冊である。主人公マット・ハンターは、大学時代に...